綾波さんで遊ぼう
04年4月発売、「新世紀エヴァンゲリオン9巻」初回特典
綾波レイ、アフターチューンド




■顔をリタッチする
〜個体差のある塗装をリタッチ、好みの顔に仕上げる〜
■綾波さんの発売後、最も多くご意見を頂いた部分が顔の塗装です。原型写真と印象が違う、髪の塗装が頬にまではみ出している(またはその逆)など、個体差もあって、ユーザーさんに不公平感を生んでしまう事となりました。
ここでは、簡単に色調合が出来、かつフォローのしやすい画材を用いて、塗装のリタッチ方法を解説したいと思います。
この方法は綾波さんのみならず、様々な食玩やカプセルトイにも応用出来、またガレージキット製作にも使える方法ですので、是非この機会に画材を揃え、体験していただければと思います(画材もそれほど高くありません)。浅井も、瞳や細部の塗装には全く同じ工程を用いています。

今回、生産のメガハウスさんのクオリティ管理は、時間や価格面から考えれば充分なものでした。今回の塗装によう個体差は、原型段階での髪の未分割や、急角度すぎたマブタなど、浅井の原型が工場に合わない造りであったことが大きな理由かと思われます。つーかごめんなさい、勉強不足でした。
次、同じ工場さんでやる機会があれば、改善を目指したいと思うんですが・・・そろそろ大量生産品の壁が厳しくなってきた気もしてます。改善を目指しつつも、こういった塗装などの面白さみたいなものも広まったらなあ、と思ってます。とか書くと逃げくさいですか?
(a1)この工程で使用する画材は、面相筆アクリル絵の具紙コップと水、それだけです。やっている事は、中学校の美術の時間で習ったアクリル画、いや小学校の水彩画と大差無い作業です。絵の具にガッシュを使うだけの事です。
面相筆は細いものを選んで下さい。模型店でも、画材店でも手に入ります。一本の価格は400円くらいまで。
絵の具は、
アクリルガッシュを強くお勧めします。
アクリルガッシュは、水で溶くことが出来る為、安全で、かつ非常に発色の良い絵の具です。隠ぺい力(下地を覆い隠すチカラ)も大変強く、どんな下地の上にでも鮮やかな発色を見せてくれる為、透明度の強いプラカラーと比べ、比較的に思い通りの色を簡単に載せることが出来るのです。粘度(ねばりけ)も水を用いての調整が容易で、伸びも良いため、筆に塗料を含ませすぎて失敗するような事が起こりにくく、薄く何層にも色を重ねる事が出来るのです。
乾燥後は、ツヤが完全に消え、落ち着いたマット調になるのも特徴です。
そして初心者の方にもお勧めする大きな理由はここなのですが、アクリルガッシュは水で溶くため(水性)、失敗しても乾く前なら拭き取る事が出来るのです。乾いた後でも、爪楊枝などで擦ってやれば、一部分だけの修正も可能で
「塗装やリタッチをしてみたい、でも怖くて踏み切れない」という方にも、安心してお勧めする事ができます。
この機会に、是非アクリル絵の具でのリタッチを経験してみましょー。
(a2へ)
(a2)上の写真はターナー社のアクリルガッシュ、12色セットです。これで1300〜2000円くらい。当面、これだけあれば充分です。
単品のチューブは、ホルベイン社のアクリラガッシュ、ちょっと名前が違いますが、中身は似たようなもので、フィギュアの塗装を行うのならどちらでも構いません。乱暴に言えば同じです。浅井も双方を混ぜて使ったりしています。値段も同じくらいですので、入手しやすい方でかまいません。(実は浅井も、ターナーの12色セットは今回の撮影の為に初めて買いました)
アクリル系ガッシュはこの他のメーカーさんからも発売されています。また、
リキテックスやアクリラなど、ガッシュ以外のアクリル塗料も多数存在します。リキテックスなどは学校の授業で購入された方も多いと思いますが、これらのアクリル塗料はガッシュよりもツヤがあり、透明度が若干高い絵の具になっています。ここではとりあえずガッシュを題材に話を進めますが、リキテックスやアクリラも、使い始めると大変面白い絵の具ですので、慣れたら経験されてみることをお勧めします。(a3へ)
(a3)注意です。アクリル塗料の塗面はプラカラーよりも弱く、触っているとハゲてきてしまいます。その為、瞳や部分塗装には向いていますが、大きなフィギュアの全身塗装や、日常的に手を触れるような部分を塗装するには不向きです。その場合はプラカラーを御使用ください。フィギュアの塗装においては万能の絵の具ではありませんのでご注意。
一般的には、プラカラーで基本の塗装→アクリルガッシュで瞳や細部の塗装、というのが無難な塗装順序だと思われます。
(b) 塗装準備です。パレットに絵の具を出し、紙コップに水を注ぎます。パレットはビニールやお菓子の包み紙など、水分を吸わないものなら何でも構いません。慣れるまで、絵の具を水で溶いては、要らない紙(これも水分を吸わないもの)で筆の感触を確かめてください。遊びで小さな絵を描いてみても良いでしょう。筆に慣れる事が大事です。自分で描きやすいと感じる、筆の濡れ具合や絵の具の調合バランスを掴んでみて下さい。
■今回使用する絵の具は、
ホワイトジェットブラックバーントシェンナ(茶色)パーマネントレッドコバルトブルーバイオレットの6色です(全てターナーの12色セットから)。
ホルベインのセットの場合、パーマネントレッドがヴァーミリオンになっているかもしれませんが、この際別に問題はありません。要は「赤色」です。
(c1)では綾波さんのリタッチを開始しましょう。
この写真は上記のハミ出し写真をリタッチしたものです。最初は髪の毛と頬の塗装が交じり合い、はみだしてしまっている部分です。どちらがハミ出しているかによって作業も変わりますが、まずは肌色をリタッチする場合の工程です。アクリルガッシュの
バーントシェンナホワイトを混ぜて見てください。簡単に肌色が作れます。赤味や黄色味を入れずとも、リタッチには充分です。こだわりたい方であれば、単品売りのフレッシュを調整しても良いのですが、小サイズのリタッチでは殆ど差はわかりません。
バーントシェンナホワイトを混ぜたら、一度綾波さんの肌色と比べてみて下さい。違和感の無い肌色になったら塗装開始です。
リタッチは、ハミ出した部分だけでは無く、髪の毛の外周に沿って、縁取るように肌色を描いていきましょう。綾波さんの場合、
髪の色がハミ出しているのは頬にかかる部分に集中しているようですので、うっすらと湾曲したラインを左右一本づつ引くだけで済むと思います。写真では、鼻に入っていた傷や、アゴのパーティング跡を整えた地色も塗りつぶしてみました。(c2へ)
(c2)上記とは逆に、頬の肌色髪の毛側に漏れている場合(この写真のケース)は、コバルトブルーに若干のバイオレットを混ぜて髪の色を作ります。個体差もあるようなので、お手持ちの綾波さんの髪色に中々合わないと思われたら、少しホワイトを混ぜ、彩度を下げてやるとより違和感が無くなります。(c3へ)
(c3)彩度とは色のあざやかさを示す度合いの事。「彩度が高い」とは原色に近い派手な色づかいを指し「彩度が低い」とは色味の抜けた乾いた色使いを指すと憶えておいて下さい。例「MSを塗ると、どうしても彩度の低い色で塗っちゃうんだ。センチネル世代だからかなあ」
(d)しまった!失敗した!というケースも、この辺りで続発の予感。大丈夫です。
アクリルガッシュは水で拭き取る事ができます。ハミ出してしまった部分は、水を含ませた綿棒でふき取って下さい。ほぼ完全に拭き取ることができます。ただ、奥まったところ、綿棒が触れられないようなところは拭き取る事ができません。その場合、爪楊枝など、先の尖ったもので塗料を掻き出すようにぬぐってやると上手く行きます。力を入れすぎて、元々の顔にキズを付けないように注意。爪楊枝で太ければ、竹串を使うと良いですよ。
これとは別に、
拭き取らず再リタッチをする方法もあります。
失敗した部分が小さく、拭き取りを行えば上手くいっている部分まで拭きとってしまう、というような場合は、ハミ出した部分を更に上から塗りつぶしてしまいましょう。隠ぺい力の強いガッシュなら可能です。
今回のケースならば、頬に
髪の毛がハミ出した場合は肌色で、肌色がハミ出した場合は髪の毛色で再リタッチを行います。(実は上のリタッチ写真も、髪の毛色を塗った後、肌色で修正をかけているのです)
ただし、この作業はあまり繰り返すと、塗装面が分厚くなってしまい、結果的に美しく無くなります。再リタッチをしても上手く行かなかった時は、思い切って拭き取ってしまいましょう。
写真で失敗をあらわしている頬の青いライン、修正後の写真では、
下の方を水綿棒による拭き取りで、上の方を肌色によるリタッチで修正しています。
こういったあからさまなケースの場合は、拭き取りの方が良いですね。
(e1)瞳の塗装を行います。まずは黒、ブラックを使って、アイラインと黒目の枠を修正します。頬の塗装よりも集中力が必要ですから気を引き締めて。
こちらの写真では、手持ちの商品から、一番アイラインの薄いものをサンプルにしてみました。髪の毛は修正済みです。
まずアイライン(マブタの裏)を奥まで深く塗ってやります。前後方向に太くする形です。
次に目のサイドライン、こちらは上だけを太く、下に行くほどシャープに、三角形に近い形にします。非常に集中力を要する作業です。
出来ないと思ったら無理はしないで下さい。アイラインだけでも充分効果はあります。(e2へ)
(e2) 次に、黒目の枠を太く、黒目そのものを大きくするようにしてやります。黒目も丸では無く、マブタに黒目が隠れているような形に塗り分けると原型のテイストに近づきます。
この際、虹彩(赤目)の部分に黒い塗料が付いてしまっても構いません。あくまでも
外枠がキレイに塗れるように集中してください。(e3へ)
(e3)アイライン、サイドライン、黒目の枠は塗れましたか?
この工程で「白目や肌に黒がハミ出してしまった」という方も居られると思います。この場合の修正は、前の工程で説明した拭き取り修正と再リタッチ修正の
「再リタッチ」修正を用いた方が良いでしょう。目の部分は段差が大きく、拭き取りは上手く効果を上げられません。再リタッチで注意深く、白目や肌色を修正してください。拭き取り修正を行うのは、アイラインの上、マブタ位で良いでしょう。
(f)虹彩、つまり赤目の部分の塗装です。
前の工程で塗装した黒目の枠の中に、赤い目を塗装します。
パーマネントレッドを使い、最初は中心から小さく、少しづつ大きくしてやるように塗装を広げてください。
次に、虹彩の
グラデーションを描き込みます。
グラデーションといっても無段階のものを塗る必要は無く、一段階明るい色を乗せてやるだけで充分です。パーマネントレッドホワイトを混ぜ、少しだけ明るいピンクを作りましょう。お好みでレッドディープイエローを混ぜたオレンジ系にしても構いません。
これらの明るい色で、虹彩の下側を縁取るように塗装します。シビアに黒目ラインギリギリまで塗る必要はありません。大体でOKです。
次に、虹彩の中心に瞳孔を入れます。
パーマネントレッドに、ほんの僅かだけ黒を混ぜた
赤茶色を作り、虹彩の中心に点を打ちます。
この場合、
点は目の中心では無く、円の中心に売ってください。つまり、写真のような下半月形の目なら、点はマブタ近くになります。虹彩の見えない部分も含め、円として考えてください。
この作業によって、瞳は人間味のある目になるのですが、無表情っぽさを表現したい場合や、フラットな印象にしたい場合は、瞳孔は入れずとも良いかもしれません。

最後に
ハイライトを書き込みます。斜め上に、で小さく点を打ってください。大きくなりすぎないように。大きくなりすぎると、つぶらな瞳になってしまいます。
(g)おさらいです。
今回行ったリタッチは、左写真の通りです。
写真の都合上、手順毎に塗装品を用意しましたが、どのクオリティの製品でも、これまでの工程で同じクオリティに仕上がるはずです。

■如何でしたでしょうか?
→の写真は、右が浅井の好みを重視して塗ったもので、赤目が半月型でピンク色が強く、瞳孔がハッキリしていない顔です。
左はアニメ的に瞳孔をハッキリさせ、赤目も丸く塗っています。
このように顔をリタッチで好みの印象に変える事や、目の色そのものを変えてしまい、自分のオリジナルカラーにすることも、決して難しくはありません。

難しいと思われがちな、細い線(ワクやアイラインなど)を描く作業は
、細い線を描くのでは無く、先に塗りつぶしておいて、次の色で細い線を残す、という順序にすれば、ちょっとした慣れでどなたでも塗る事ができます。慣れてしまえば手先の器用さはさして重要ではありません(浅井もネタになるほどぶきっちょです)。
塗れる人=細い線が引ける人ではないのです。
食玩やカプセルトイが多く発売されている昨今、どなたの家にも一つぐらいは、要らないダブリが余っていると思います。綾波さんのリタッチに踏み切れないという方も、それらを使って一度リタッチを楽しんでみませんか?

■追記1
今回はあくまでリタッチの方法を説明していますので、白目の塗装はしませんでしたが、基本的にフィギュアの目の塗装は、
「黒で目全体を塗りつぶす」↓
「アイラインやサイドラインを残すように白目を描く」↓

「黒で黒目を描く(塗りつぶす)」↓

「虹彩(色目)を、黒目の枠を残すように塗る」↓

「虹彩にグラデーションを乗せる」↓

「白でハイライト」

という順序になります。


■追記2
→右の写真について。
トリックに過ぎませんが、太ももの関節を、腰を捻るように用いると、一見して脚を大開脚しているようなポーズにすることができます。前ページのボールジョイント加工も合わせれば、意外なポーズもとれますよ。


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